理事長所信

【世界に冠たる日本へ】

日本を日本たらしめるもの

悠久の時が流れるこの国で培われた揺るぎない自信と誇り

脈々と受け継がれている美しさと強さ

日本人よ、それらを胸にもう一度立ち上がろう

大切なものを守りつつ自らの限界を突破しよう

私は信じている 私たちにはそれができると

私は信じて欲しい あなたには未来を変える力が確かにあると

 

【日本が世界の新機軸となるために】

 情報、物流、ネット、金融。あらゆるものの障壁がなくなっていく現在。もはや議論の余地すらないグローバリゼーション。世界は、まるで運命を共にするかのように、互いに強く影響を与え合い、そしてあらゆるフレームが同一化していく。その中で国家の存在意義や民族のアイデンティティは、同一化に向かうどころか、世界のフレームの同一化の流れに逆行するかのように、衝突を起こしている。世界が均質化する潮流の中で新たな軋轢が生まれる今、日本が世界の新機軸となるためには、日本を日本たらしめるもの。本来持つ特性に加え、新たなものを手に入れる必要に迫られています。

 日本は、少子高齢化、経済の低成長、領土問題など、国内はもとより、世界との軋轢を抱えています。世界経済の影響を受けるその時、領土問題を解決しようと交渉するその時、海外を旅するその時に、日本人は、日本人の優しさ、思いやり、真面目さといった良さを自覚できます。時に、日本人の高い国民性は世界からの称賛を受けます。日本は、日本人の気質を具現化した組織力を最大限に活用し、高品質大量生産を行い、世界の中で、一定の地位を築いてきました。しかし、経済面においても外交面においても、これまでのやり方では立ち行かなくなったことは、自明の事実です。

 日本人は、震災以降、日本人の持つ国民性が、世界に誇れるものだと認識しました。そして、現在は誇りに思っています。と同時に、世界で勝ってきた要素を失いつつあることと認識しています。それらを取り戻すことで、日本が迎えようとしている緩やかな死に対して、活路を見出そうとしています。しかし、それだけでは、世界との熾烈な競争に打ち勝つこと、抱える軋轢を解消することはできません。当然、状況を打開するには至りません。そして日本人は、このままでは現状を変えられないこと、この状況を改善することができないという事実を理解しているはずです。しかし、行動を起こせないその一因は、日本人が世界で戦ってきた強みである官僚的な組織力にあるのです。戦後の日本は、荒廃から立ち上がるべく、多くのリーダーを輩出し、イノベーションを起こしてきました。優れた商品を大量に生産するために、管理に力を入れました。不良率を下げ、異質なものを排除する風土が生まれました。もともと持っている日本人の気質が素晴らしいことに加え、それらを源泉として積み上げた成功体験に捉われ、状況を打破することができないのです。

 この現状を打破するために、日本人に必要なのは、本来持ち合わせている組織力に加え、個人が、ビジョンを明確に設定する力と、実現するために規制や常識、環境を打破する行動力、そして、掲げた目標が必ず実現すると信じ抜く力です。組織とは、個の集合体に他なりません。組織の性質は、その構成要素である個の性質に大きく依存します。今求められているのは、組織の中で最大限に個の力を発揮する力、環境を打開する突破力なのです。時代が求める突破力こそが、「明るい豊かな社会」を手に入れるために必要とされるのです。

 

【イノベーション思考の人財が育つまち】

 人口総数は国力に直結します。人口の構成比率は、国の成長力や将来性に影響を及ぼします。日本中が、これからの日本が成長を描くためにも、人口減少、出生率の向上を模索しています。行政や民間の諸団体があらゆる解決策を模索していますが、未だ解決には至っておりません。日本に存在する市町村のうち、2分の1が存続することが困難だという消滅可能性都市に指定された現在、各市町村は生き残りをかけて、必死に将来を考え、あらゆる策を打ち出そうとしています。一方ぎふのまちは、人口や県内GDPはおおよそ横這いです。消滅可能性都市にも指定されていません。それ故に、多くの市民が、将来に対する危機感すら持っていないのではないでしょうか。

 ぎふのまちは、壮大なる歴史や自然を有するまちです。わずか34歳の若者が、天下統一を夢に抱きながら過ごしたまち。都会への利便性が高い中心市街地と豊かな自然とが共存しているまち。私たちは、過去から姿を変えずにある自然からの恩恵を受けながら、古き良き記憶も持ち続けています。ぎふのまちの人々が、ぎふのまちに持つイメージ。それは、自らが作り上げたものではなく、過去からの追憶なのです。その追憶の中で生まれ育つ人々は、変化の必要性に気づきません。そして、ぎふのまちの資源は永遠であるかのように感じているため、自ら新たな何かを生み出す行動をとらない傾向にあります。しかし、それで良いのでしょうか。昔から引き継いだ資源や記憶のみで、今後の発展を、ただ漠然と期待し、望むだけで良いのでしょうか。

 私たちが住み暮らすこのまちを、私たちは今後何をもって認識していくのか。それは、古き良き姿を保持しながらもイノベーションが連続するまち、イノベーション思考の人財が育つまちだと考えます。過去からの資源を有する今の姿のままでも素晴らしい。素晴らしいが、変化の激しいこの時代にあって、あまりにも穏やか過ぎるのではないか。素晴らしいものを持っているからこそ、自信を持ってそれらを維持活用しながら、イノベーションを連続させよう。世界に誇れる自然や歴史に加えて、インパクトのあるイノベーションを連続させよう。大きな振れ幅のあるまちで育った人々は、多様な価値観に触れる機会に恵まれ、保守と革新のいずれも重要であると認識します。そして、守るべきものと変えるべきものをしっかりと判断できる人財となります。今後の日本に必要とされる人財を、ぎふのまちから輩出しよう。日本で、世界で活躍する人財。そんな人財を輩出し続けることのできるまちへ。

 

【世界に打ち勝つアイデア溢れる次代の子供たちを】

 戦後の日本は、効率的で日本人の風土に根差した教育システムを構築し、世界にて確固たる地位を確立しました。しかしながら、昨今のグローバル化や少子高齢化、高度情報化に伴い、大人の価値観、社会の価値観は急速に変化しています。一つの特徴として、世の中の急速な変化の中で、中長期的なビジョン実現に向け活動する余裕を失い、短絡的なメリットを追求する傾向があります。教育の面においても、大人たちが感じている漠然とした不安や自信の喪失の中で、現状が良ければいいという短絡的な安定と、周りの人々と同じであれば良いという過度の協調性、均質性を子供に押し付けてはいないでしょうか。

 日本が、未来を見据えた成長戦略の成果をあげられない中、子供たちを取り巻く生活環境にも変化を及ぼしています。高度経済成長で得た物質的な余裕と引き換えに、精神的な豊かさを犠牲にした自覚があります。そして、それらを取り戻す取り組みは、社会構造の変化と相俟って、人々の価値観と個々人の幸福について、多くの議論を呼んでいます。価値観の多様化は個々人の生きるべき道を自由に選ぶ選択肢を与え、多くの人々に幸福になる可能性を拡げています。しかし、今後の日本を取り巻く環境は、更にグローバル化が進み、激しく変化していくことが予想される中、何に価値を見出せば良いのか戸惑う機会も増えています。

 日本の子供たちには、ぎふのまちのどこにいても、国内のどこにいても、世界のどこにいても、胸を張って生きて欲しい。日本人が保有している価値観を大切にしながら、変化の激しい世の中を生き抜いていく力を身に付け、自信を持って生きて欲しい。これまでの日本社会は失敗を許容できない土壌がありました。しかし、価値観の多様化した社会においては、失敗を更なる成長の糧とすることもできるのではないでしょうか。子供たちには、自らが理想とする未来像に向けて、臆することなく行動することの大切さを伝えたい。自らの才能や努力の結果に対し、自信を持って生きることの大切さを伝えたい。子供たちに、未来は明るいものであり、自らの力は世界を変える力を秘めているということを伝えていくことが、いつの時代にあっても大人の使命であり、青年経済人である私たちJCの担いなのです。

 

【岐阜JCの活動の根幹である修練を徹底し、人財の育成を】

 岐阜JCは、64年の長きに亘り「ひとづくり・まちづくり」運動を展開する中で大きな成果を得てきました。運動方針は岐阜JCのもっとも重要な伝統として変わることはありませんが、経済情勢が急激に変化する中で、岐阜JCにメンバーや社会が期待する部分も変化しています。岐阜JCにメンバーを輩出する母体となっている多くの中小企業は、厳しい高度情報化社会の進展の中で、ITの力を利用して、多くの業務を少ない人員で効率的に遂行するようになりました。また、晩婚化や女性の社会進出といった社会情勢の変化は、私たち青年世代の家庭での役割、家族との役割に変化をもたらしています。このような状況下で、岐阜JCが必要とされ続けるためには、岐阜JCが持つ個の力を高める修練について、メンバーはもちろんのこと、私たちの運動の理解者である会社、家族、市民に対して正しく理解してもらうことが必要ではないでしょうか。岐阜JCという団体が、メンバーの人間性をのみならず、ビジネス上の重要なスキルや知識を鍛え高める団体である点をもっと追求しなければいけません。自身の自己満足にならず、他者からもしっかりと評価のできる修練を積み上げ、それを会社、家族、市民にも理解していただき、私たちが取り組む活動への理解のきっかけとしていただくのです。このためには、自身の研鑽もさることながら、他者に伝える力、他者の心を理解し、認める力も必要となります。このような活動を通して育成される「人財」こそが、これからの岐阜JCに必要不可欠なのです。また、岐阜JCは公益法人としてメンバーだけでなく、市民にも学びの機会を提供します。時代に先駆けた問題提起と、それを打ち破るために何が足りないかを、まちの青年経済人、市民と共に学び、岐阜JCを取り巻くすべての人々が「人財」として輝ける機会を提供していきます。

 

【無責任なフォロワーシップを捨て、突破力を持った団体として駆け抜けよう】

 現状ある均衡を創造的に破壊し、新たな価値を生み出す。この役割を担うのは、いつの時代にあっても、私たち青年でありたいし、あるべきだと考えます。

 私たちは、生まれてから社会に出るまでの間、受動的ではあるものの多くの変化を経験します。成長過程にある私たちの感性は、目まぐるしく変化する環境に対して、悩みながらも柔軟に対応してきたはずです。社会の一員となった現在、環境が激しく変化する時代であっても、新たな価値を社会に提供し続ける立場となりました。しかし、私たちは、仕事や家庭などの生活環境や、私たち自身の価値観が固定化する傾向にある中で、本当に能動的に考え行動し、月日を積み重ねているでしょうか。

岐阜JCメンバーには、「明るい豊かな社会」を実現するという社会的責任を背負った青年経済人としての担いがあります。その担いを全うするために、個々人が、現状を打破し、真に変革の能動者となる必要があります。まずは、三信条を標榜する岐阜JC内において、しっかりと自身の現状を把握し、目指す理想像を明確にし、その姿を実現するのです。そうすることで初めて、個の集合体である組織は、掲げた理想の実現に向け走り出せるのです。

 真に変革の能動者の集団となった岐阜JCが、目的を共有し、同じ方向に進むためには、組織の結束を強固にすることが重要です。65年目を迎える本年度も、守るべきものと変えるべきものを見極めます。そして、私たちの活動が時代の先を行くものであるのか、組織のポテンシャルを限界まで引き出しているのか、それによって個々人や組織が成長できているのかを冷静且つ情熱を持って注力します。

 時代を先駆ける岐阜JCが、ぎふのまちに必要とされ続けるためには、岐阜JC内の結束や繋がりを強固にし、戦う集団として維持発展していくことは必要不可欠です。更には、各メンバーの会社や家族などの関係者、ぎふのまちの市民、各種団体、行政などとも繋がりを強固にしていく必要があります。私たちの理念や活動方針をしっかりと理解していただき、賛同や共感をしていただいた先に、私たち自身の成長はもちろんのこと、「明るい豊かな社会」実現への道があるのです。

 

 一度きりの人生。人はどう生きるのか。何をもって生き抜いた証とするのか。少なくともJCに入会した以上、生きていくなかでいくつか残すであろう証の一つに、公益に根差したものがある人生も素敵ではないでしょうか。まずは自己効力感を持って活動を起こす。時に一人で、時に仲間と、時に社業で。青少年、ぎふのまち、仲間、家族を対象に活動し実績を残す。その実績の積み重ねが、多くの人を豊かにする。そんな人生も悪くないのではないでしょうか。

 そのような人生を送るために重要なものは、魂から湧き出る欲求の在り方です。多種多様に存在する欲求の方向性を、健全な価値観により「明るい豊かな社会」の実現に向けることができたなら、そんな人が一人でも多く存在したなら、この社会はどれだけ素晴らしいものになるだろうか。私は、私の持つ多様な欲求に、また青年経済人の持つ多様な欲求に、正の影響を及ぼすことのできるJCを、価値のあるものだと思っています。そして、理想の社会実現に向けて先駆けるのは、やはり、いつの時代にあっても私たちJCでありたい。

 私は、岐阜JCを構成している仲間と出会えたことを嬉しく思っています。仲間と目的を共有し、エネルギー溢れる青年時代を共に生きられること、卒業しても相互に高め合う存在となり、死が私たちを分かつまで、共に人生を歩めることを嬉しく思っています。

 

私は信じている。私たちには、それができると。

私は信じて欲しい。あなたには、未来を変える力が確かにあると。

一歩、一歩を、共に歩もう。私たちには、それができる。

 

 

 

 

基本方針


・イノベーション思考の人財が育つまち

・世界に打ち勝つアイデア溢れる次代の子供たちを

・岐阜JCの活動の根幹である修練を徹底し、人財の育成を

・無責任なフォロワーシップを捨て、突破力を持った団体として駆け抜けよう

 


全体事業


まちづくり事業(仮称)

青少年育成事業(仮称)

2017年度新入会員募集